「勇気づけ」でやる気を引き出す! アドラー流リーダーの伝え方

アドラー心理学を学び始めて数年になり、岩井先生が書かれた働く人向けの本も何冊か読ませて頂きました。リーダーシップに関する本は今回、この本を初めてです。ページ数や字の大きさ的にはとても読みやすい本ですが、内容としてはしっかり立ち止まって考えないと理解が及ばない実践事例が多く紹介されていました。長年、企業研修の最前線に立ち続けてこられた体験から、刻々と細やかな方向転換が求められる競争社会の中で生き残るにはどのような工夫が必要か？がわかりやすく解説されています。スピーディーに圧倒的な結果を出すために「生産性」を追求すると「人間性」を欠いた組織になり、もっとも大切な資産である「ヒト」が失われる。どんな局面でも協力・尊重しあい永続的な成果を出せるチームを作り上げていくには、リーダー自身がアドラー心理学を基盤とした勇気づけを生き方レベルで身についていることが必要不可欠だと実感しました。第５章のタイプ別アプローチでは、一見クセが強く関わりにくい相手にも「相手が何に困り本当は何を望んでいるか？」を見極めた上での適切な関わりが必ずあると知らされます。管理職のみならず対人援助に関わる人には幅広く、とても助けになる一冊だと実感しました。